RPE・RIRとは?「あと何回できるか」で筋トレ強度を自己調整する方法
「今日はこの重さで合ってる?」——その日の体調で最適な負荷は変わります。そこで便利なのがRPE(自覚的運動強度)とRIR(あと何回できるか)。%1RMの計算に頼らず、自分の感覚で強度を“自己調整”できます。初心者は精度が低くて当たり前。まずはRIR2〜3から、記録に一言そえるところから始める使い方を科学的に解説します。

「今日はこの重さで合ってるのかな?」——筋トレをしていると、毎回この迷いがついて回りますよね。しかも厄介なことに、最適な重さは“その日の体調”で変わります。よく寝た日と寝不足の日では、同じ40kgでもきつさがまるで違う。
そこで頼りになるのが、**RPE(自覚的運動強度)とRIR(あと何回できるか)**という考え方です。難しい計算をしなくても、自分の感覚で「ちょうどいい強度」に合わせられる便利な道具。この記事では、その意味と、初心者がつまずかない使い方を、研究に基づいてやさしく解説します。
結論先出し:RPE・RIRの使い方5つのポイント
- RIR=「あと何回できるか」、RPE=「10段階のきつさ」 — 初心者はRIRで考えると直感的[1]
- 初心者はRIR2〜3から — あと2〜3回の余裕を残して終える。フォームが安定し怪我も防げます
- 最初は精度が低くて当たり前 — 経験とともに当たるようになります[1]
- その日の体調に合わせて自己調整できる — %1RMにはない強みです[4]
- 記録に一言そえる — 「40kg×8回・RIR2」で次回の調整がラクに
毎回限界まで追い込む必要はありません。「ちょうどいい」を自分で見つける——それがRPE・RIRです。
RPE・RIRとは?
まずは2つの言葉を、シンプルに整理しましょう。
RIR=あと何回できるか、RPE=10段階のきつさ
- RIR(Reps In Reserve):そのセットを終えた時点で「あと何回できそうか」の残り回数。あと2回いけそうなら「RIR2」
- RPE(自覚的運動強度):そのセットが「どれくらいきつかったか」を1〜10で表す指標
筋トレでよく使われるのが、この2つを対応させたRIRベースのRPEスケールです[1]。目安はこうです。
- RPE10 = RIR0(もう1回も無理・完全に限界)
- RPE9 = RIR1(あと1回できそう)
- RPE8 = RIR2(あと2回できそう)
- RPE7 = RIR3(あと3回できそう)
初心者のうちは、難しく考えず「あと何回できそう?」とだけ自分に問いかければOK。これがそのままRIRになります。
%1RMより「その日の体調」に合う
「最大重量(1RM)の◯%でやりましょう」という%1RM方式もよく聞きますよね。これは計画的で便利ですが、弱点があります。その日の睡眠・疲労・ストレスまでは反映できないこと。
同じ「70%の重さ」でも、絶好調の日と寝不足の日では、体への負担はまるで違います。RPE・RIRなら、「今日の自分」の感覚に合わせて強度を微調整できる。だから初心者にも、コンディションが揺れやすい人にも向いているんです。
初心者のRIRの使い方
理屈が分かったら、さっそく実践です。難しくありません。
まずはRIR2〜3から始める
初心者におすすめのスタートは、RIR2〜3(あと2〜3回の余裕を残して終える)。限界まで追い込まないことで、フォームが崩れにくく、怪我のリスクも下がります。
具体的には、セットの最後で「うーん、あと2〜3回ならいけそうだけど、ここでやめておこう」という感覚。これを各セットの目安にします。慣れてきたら、調子のいい日にRIR1〜2まで攻める、というふうに少しずつ強度の幅を広げていけばOKです。
最初は精度が低くて当たり前
ここで安心してほしいのが、最初はうまく見積もれなくて当然だということ。研究でも、経験の浅い人は「あと2〜3回(RIR2〜3)」の予測がズレやすく、限界に近いほど(あと1回など)感覚が当たりやすいと分かっています[1]。つまり、余裕がある段階の見積もりが難しいのは、あなただけの問題ではありません。
精度を上げるコツはシンプル。「あと2回できそう」と思ったら、たまに本当に2回やってみる。この答え合わせを繰り返すうちに、2〜3週間で感覚が整ってきます[3]。
RPE・RIRで「自己調整(オートレギュレーション)」
RPE・RIRがいちばん力を発揮するのが、**オートレギュレーション(自己調整)**という使い方です。
同じ重さでも、日によってRPEは変わる
オートレギュレーションとは、その日の調子に合わせて、負荷をその場で微調整すること。あらかじめ決めた重さに固執せず、「今日のRPE」を見ながら柔軟に動かします。
例えば「スクワット40kg×8回」を予定していて、
- いつもよりずっと軽く感じる(RPE6・RIR4)→ 少し重くする、または回数を足す
- いつもよりかなりきつい(RPE9・RIR1)→ 無理せず据え置く、または1セット減らす
RPEは、動作スピードや実際の強度とよく対応することが研究で確認されており[4]、こうした「今日の自分」基準の調整に役立ちます。がんばりすぎも、ぬるすぎも防げるわけです。
記録に一言そえると、次回がラクになる
オートレギュレーションを回すには、記録が欠かせません。「40kg×8回・RIR2」のように、回数のあとに一言そえるだけ。次回それを見れば、「前回は余裕だったから今日は少し上げよう」とすぐ判断できます。
数字だけでなく“その日の感覚”が残ると、睡眠不足や疲労で力が出ない日の傾向も見えてきます。記録の全体像は、ピラー記事「筋トレ記録の完全ガイド」を参考にしてください。
毎回限界まで追い込まなくていい
「RIRで余裕を残す=手を抜く」と感じるかもしれませんが、まったく違います。
あと1〜2回を残して終えても、しっかり刺激が入っていれば、筋肉はちゃんと育ちます。むしろ毎回限界(RIR0)まで追い込むと、疲労が抜けにくく、フォームも乱れやすく、長期的にはマイナスになりがち。RPE・RIRは、まさに「追い込みすぎを防ぎながら、ちょうどいい強度を保つ」ための仕組みなんです[2]。
賢く余力を残すことは、サボりではなく戦略。疲労をコントロールできる人ほど、長く・安定して伸びていきます。
初心者が陥りがちな間違い
RPE・RIRでつまずく“あるある”を3つ。
間違い1:いきなり毎回RIR0(限界)
やる気のある人ほど、毎セット限界まで追い込みがち。でもそれだと疲労が蓄積し、フォームも崩れます。まずはRIR2〜3で余裕を残しましょう。
間違い2:感覚だけで、記録しない
RPE・RIRは記録してこそ活きます。「前回どう感じたか」が残っていないと、次回の調整に使えません。一言メモを習慣に。
間違い3:精度を求めすぎる
「正確なRIRが分からないからダメだ」と落ち込む必要はありません。最初はズレて当然です[1]。ざっくりで使い始め、答え合わせで磨いていけば十分です。
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RPEだのRIRだの、難しく考えるな。要は「あと何回できそうか」——それだけだ。あと2〜3回残してやめろ。それで十分効く。
毎回限界まで追い込むのが偉いと思うな。それは素人の考えだ。疲労を残してフォームを崩すヤツから怪我で消えていく。余力を残すのは戦略だ。賢く引くから、長く戦える[2]。
最初は感覚が外れる。当然だ[1]。「あと2回」と思ったら本当に2回やってみろ。その答え合わせを繰り返せば、感覚は研ぎ澄まされる。そして必ず記録しろ。今日のきつさを残せ。それが明日の貴様を強くする。やってみせろ。

- RPE(自覚的運動強度):そのセットがどれくらいきつかったかを1〜10で表す主観的な指標
- RIR(あと何回できるか/Reps In Reserve):セット終了時に、あと何回反復できそうかの残り回数。RPEと対応する(RPE8≒RIR2)
- オートレギュレーション(自己調整):あらかじめ決めた負荷に固執せず、その日の調子に合わせて強度を微調整する考え方
- %1RM:最大1回挙上重量(1RM)に対する割合で強度を決める方法。計画的だが、その日の体調は反映しにくい
- 限界(フェイラー):もう1回も挙げられない状態(RIR0/RPE10)。毎回ここまで追い込む必要はない
- 構成概念妥当性:その指標が「測りたいもの(強度)」をちゃんと反映しているかの確からしさ

QRPEとRIRって、何が違うんですか?
とても近い兄弟のような関係です。RIRは「あと何回できるか(Reps In Reserve)」という残り回数のこと。RPEは「どれくらいきついか」を10段階で表したもので、よく使われる目安では『RPE10=もう1回も無理(RIR0)』『RPE9=あと1回(RIR1)』『RPE8=あと2回(RIR2)』と対応します[1]。初心者には、回数で考えるRIRの方が直感的で分かりやすいですよ。まずは『あと何回できそう?』だけ意識すればOKです。
Q初心者でも、強度を正しく判断できますか?
最初は外れて当たり前なので、安心してください。研究でも、経験の浅い人は『あと2〜3回』の見積もりがズレやすく、限界に近いほど(あと1回など)感覚が当たりやすいと分かっています[1]。つまり最初は精度が低くて当然。実際に『あと2回できそう』と思ったら本当に2回やってみる、を繰り返すうちに、2〜3週間で感覚が整ってきます。完璧を目指さず、ざっくりでいいんです。
QどのRIRから始めるのがいいですか?
初心者には『RIR2〜3(あと2〜3回の余裕を残して終える)』がおすすめです。限界まで追い込まないことで、フォームが安定し、怪我のリスクも下がります。慣れてきたら、種目や日によってRIR1〜2まで攻める日を作ってもOK。いきなり毎回RIR0(限界)にすると、疲労がたまって長続きしないので、まずは余裕を残すところから始めましょう。
Q毎回、限界まで追い込まないと効果がないのでは?
そんなことはありません。あと1〜2回を残して終えても、しっかり刺激が入っていれば効果は十分得られます。むしろ毎回限界まで追い込むと疲労が抜けにくく、長期的には成長が止まりやすいんです。RPE・RIRは『追い込みすぎを防ぎながら、ちょうどいい強度を保つ』ための道具[2]。賢く余力を残すことが、結果的に継続と成長につながりますよ。
QRPEやRIRは、記録しておくべきですか?
ぜひ記録してください。『40kg×8回・あと2回できそう(RIR2)』のように一言そえるだけで、次回の調整がぐっとラクになります。例えば前回RIR3(余裕)だったなら今日は少し重く、前回RIR0(限界)だったなら据え置き、と判断できます。数字だけでなく『その日の感覚』が残ると、体調の波も見えてきます。スマホのメモでもアプリでも大丈夫ですよ。
Q%1RM(最大重量の割合)とRPE、どっちを使えばいいですか?
両方の良いとこ取りが理想ですが、初心者にはRPE・RIRの方が実用的です。%1RMは『最大重量の◯%』という固定の基準で計画的ですが、その日の体調(睡眠・疲労・ストレス)までは反映できません。RPE・RIRなら『今日の自分』に合わせて微調整できます[4]。まずはRIRで日々の感覚をつかみ、慣れてきたら%1RMと組み合わせる、くらいの順番がおすすめです。
Q日によって感覚がブレる気がします。これでいいの?
それでいいんです。むしろ、同じ重さでも『今日は重く感じる/軽く感じる』とブレるのが自然で、その揺らぎを拾えるのがRPE・RIRの長所です。睡眠不足や疲労の日は同じ40kgでもRPEが高く出る——それが分かれば『今日は無理せず据え置こう』と判断できます。ブレは欠点ではなく、体調のサイン。記録に残しておくと、自分の波が見えてきますよ。
参考文献
- Novel Resistance Training-Specific Rating of Perceived Exertion Scale Measuring Repetitions in Reserve — Journal of Strength and Conditioning Research (2016)
- Application of the Repetitions in Reserve-Based Rating of Perceived Exertion Scale for Resistance Training — Strength and Conditioning Journal (2016)
- Feasibility and Usefulness of Repetitions-In-Reserve Scales for Selecting Exercise Intensity: A Scoping Review — Perceptual and Motor Skills (2024)
- Validity of Rating of Perceived Exertion Scales in Relation to Movement Velocity and Exercise Intensity During Resistance-Exercise: A Systematic Review — Sports Medicine (2025)



