PFCバランスの決め方|筋トレ目的別の栄養配分
筋トレの成功はトレーニングよりも栄養が重要。PFCバランスの最適値は、タンパク質1.4~2.0g/kg、増量期は炭水化物3~5g/kg、脂肪は最低0.5g/kg。科学に基づいた計算方法と実例メニューを解説。

筋トレをはじめたばかりの人から、ある程度経験を積んだ人まで、多くの人が同じ悩みを抱えています。「毎日どのくらいのカロリーを取ればいいのか」「タンパク質はどれくらい摂ればいいのか」「炭水化物は少ない方がいいのか」——こうした疑問は、実は栄養学の研究で答えが出ています。
このメディアのAIトレーナーのエマも、何度も繰り返す重要な基本が「PFCバランス」です。なぜなら、どんなに優れたトレーニングプログラムでも、栄養がなければ筋肉は育たないからです。
実は、PFCバランス(タンパク質・脂肪・炭水化物のバランス)の決め方には「セオリー」があります。今回は、科学的根拠に基づき、あなたの目的別に「具体的な数字」を示します。増量期と減量期、そして初心者向けに、実践的な計算方法と食事例も紹介します。
結論先出し
- タンパク質: 筋トレをしている人なら、体重1kgあたり1.4~2.0g/日が筋肉成長に推奨される量。増量期も減量期も基本は変わりません
- 炭水化物: 増量期は3~5g/kg/日以上、減量期は2~5g/kg/日。「少なすぎる」と筋力が落ちる可能性があります
- 脂肪: 最低でも体重1kgあたり0.5g/日を維持。ホルモン合成のためにも重要です
- カロリー収支: 増量期は+10~20%、減量期は-15~20%の目安。「週に0.25~0.5%の体重増加」「週に0.5~1.0%の体重減少」が現実的です
PFC(三大栄養素)それぞれの役割
タンパク質:筋肉の材料+成長シグナル
タンパク質は単なる「筋肉の材料」ではありません。もっと正確に言うと、2つの働きをしています。
まず1つ目は、ご存じの通り「筋肉の構成要素」。私たちの筋肉はタンパク質でできていますから、新しい筋肉をつくるなら原料としてタンパク質が必要です。
もっと大事なのが2つ目の働き:タンパク質を食べると、体が「筋肉を大きくしろ」という信号を受け取るということです。この信号が強いほど、トレーニングのダメージから筋肉が回復するとき、より大きく成長します。
研究では、タンパク質をしっかり摂ると「筋タンパク質合成」(=筋肉を作る仕組み)が高まることが、繰り返し証明されています。複数の研究をまとめた分析では、タンパク質補給を行ったグループは、そうでないグループより筋力が有意に増えました。また、筋力向上は総タンパク質摂取量が0.1g/kg体重/日増加するごとに約0.7%向上し、この効果は1.5g/kg/日まで続くとされています[1][2]。
ただし、いくらでも多く摂ればいいわけではありません。研究によると、タンパク質が1日あたり体重1kgあたり1.6g以上に達すると、それ以上増やしても筋肉の成長がほぼ進まなくなります。経済的にも効率的にも、1.4~2.0g/kg/日の範囲が「最適値」です[1]。
炭水化物:トレーニングのガソリン+回復の手助け
「炭水化物は太るから避けるべき」というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし筋トレをしている人には、炭水化物は非常に大事です。
筋肉が力を発揮するには、エネルギーが必要です。このエネルギーは、筋肉に蓄えられた「グリコーゲン」という糖の形で貯蔵されています。筋トレを1セッション行うと、この筋グリコーゲンは減少します[5]。セット数が多かったり、複数回のセッションを1日で行ったりすると、さらに減ります。
グリコーゲンが減ると何が起きるか。筋肉のパフォーマンスが落ちます。つまり、同じ重さでも上げられなくなる、同じ回数でも疲れやすくなる、ということです。結果として、トレーニングの質が下がってしまいます[5]。
もう1つ、見落とされがちな役割があります。それはタンパク質の効果を引き出す手助け。タンパク質を摂っただけでは不十分で、一緒に炭水化物があると、筋タンパク質合成がより効率よく起こります。
増量期に意味のある筋肉成長を実現した人たちは、一般的に3~5g/kg/日以上の炭水化物を摂取していました。「増量期だから炭水化物をバンバン摂ればいい」ではなく、この目安を守ることが大事です。
脂肪:ホルモン合成の土台+吸収の手助け
脂肪も、悪者扱いされることが多いですね。でも、筋トレしている人にとって脂肪は必須です。
理由の1つは、男性ホルモン(テストステロン)の合成です。テストステロンは筋肉成長のキーホルモンですが、その原料がコレステロール。つまり脂肪から作られるのです。脂肪を極端に減らすとホルモンバランスが崩れやすくなるため、適量の脂肪を確保しておくことが大切です。
もう1つの役割は、ビタミンA・D・E・Kなどの「脂溶性ビタミン」の吸収です。これらのビタミンは、脂肪がなければ体に吸収されません。つまり脂肪がないと、他の食事で得たビタミンも使われずに捨てられてしまう、という悲劇が起きます。
最低でも、体重1kgあたり0.5g/日の脂肪は摂ることをお勧めします。減量期でも、このラインは守ってください。
1日の総消費カロリーの計算方法
PFCバランスを決める前に、まず「1日トータルで何カロリー食べるか」を決める必要があります。
ステップ1:基礎代謝率(BMR)を計算する
基礎代謝とは、何もしなくても体が消費するカロリーのこと。寝ているだけでも消費されます。
ここでは、体重・身長・年齢から1日の基礎代謝を見積もる、広く使われている推定式を紹介します。あくまで「目安」なので、実際の体重の増減を見ながら微調整するのが前提です。
男性の場合:
基礎代謝 = (9.65 × 体重kg) + (573 × 身長m) - (5.08 × 年齢) + 260
女性の場合:
基礎代謝 = (7.38 × 体重kg) + (607 × 身長m) - (2.31 × 年齢) + 43
例)25歳・70kg・身長1.75mの男性の場合:
(9.65 × 70) + (573 × 1.75) - (5.08 × 25) + 260
= 675.5 + 1,027.75 - 127 + 260
= 1,836 kcal/日
ステップ2:活動レベルを反映させる
基礎代謝に活動レベルの係数(PA係数)をかけます。
| 活動レベル | PA係数 | 目安 |
|---|---|---|
| 座りがち | 1.00 | デスクワーク中心。運動ほぼなし |
| 低い | 1.13 | 軽い活動を週1~3日 |
| 中程度 | 1.26 | 軽い活動を週3~4日、または中程度活動を週1~3日 |
| 高い | 1.42 | 中程度活動を週3~4日、または強い活動を週1~3日 |
| 非常に高い | 1.58 | 毎日強い活動、または筋トレを週4日以上 |
例)上記の男性が筋トレを週3日行う場合:
1,836 × 1.26 = 2,313 kcal/日
これが「保持カロリー」(体重が変わらない摂取カロリー)の目安です。
ステップ3:目的に応じてカロリーを調整する
- 増量期(筋肉をつける):保持カロリー + 10~20%
- 減量期(脂肪を減らす):保持カロリー - 15~20%
例)上記の男性が増量期の場合:
2,313 × 1.15(+15%) = 2,660 kcal/日
目安としては、増量期は週に0.25~0.5%の体重増加、減量期は週に0.5~1.0%の体重減少が現実的です[6]。上記の男性なら、増量期で週200~350gの体重増加、減量期で週350~700gの体重減少が目標になります。
増量期のPFCバランス
増量期は、筋肉と脂肪の両方がつく時期です。いかに脂肪を最小化しながら筋肉をつけるか、が工夫のポイント。
タンパク質:1.6~2.0g/kg/日
理由は前述の通り。1日の総タンパク質量を決めたら、1食あたり0.25~0.40g/kgに分割します[3]。
例)70kg男性、1日2,660kcal増量期の場合:
タンパク質 = 70 × 1.8 = 126g/日
1食あたり = 126 / 4食 = 31.5g/食(≒32g)
炭水化物:3~5g/kg/日以上
増量期に意味のある筋肉成長を見た人たちは、この範囲を摂取していました。「増量期だから炭水化物をバンバン摂ればいい」ではなく、目安を守ることが大事です。
例)上記の場合:
炭水化物 = 70 × 4 = 280g/日
脂肪:残りのカロリーから計算
タンパク質と炭水化物を決めたら、残りのカロリーを脂肪で埋めます。ただし最低でも0.5g/kg/日は確保してください。
タンパク質:126g × 4kcal = 504kcal
炭水化物:280g × 4kcal = 1,120kcal
合計:1,624kcal
残りカロリー:2,660 - 1,624 = 1,036kcal
脂肪:1,036 / 9 ≒ 115g/日
最低値の確認:70kg × 0.5g = 35g ✓(115g > 35g なので安心)
実例:70kg男性、増量期メニュー(2,660kcal)
| 食事 | 具体例 | タンパク質 | 炭水化物 | 脂肪 |
|---|---|---|---|---|
| 朝食 | 卵3個・白米150g・納豆1パック | 20g | 60g | 12g |
| 昼食 | 鶏むね肉120g・白米150g・キャノーラ油大さじ1 | 32g | 60g | 15g |
| おやつ | ホエイプロテイン30g・バナナ1本 | 25g | 27g | 2g |
| 夕食 | 牛肉100g・白米150g・バター大さじ0.5 | 28g | 60g | 12g |
| 合計 | 105g | 207g | 41g |
実際はもう少し細かく調整して、タンパク質126g・炭水化物280g・脂肪115gに合わせます
減量期のPFCバランス
減量期は、脂肪を落としながら筋肉を守る時期。ここが最も栄養管理が重要です。
タンパク質:2.2~3.0g/kg/日に引き上げる
減量期ではカロリー不足の時に筋肉が分解されるのを防ぐため、増量期より高いタンパク質が推奨されます[4][6]。
例)70kg男性、減量期(1,850kcal)の場合:
タンパク質 = 70 × 2.5 = 175g/日
1食あたり = 175 / 4食 = 43.75g/食(≒44g)
炭水化物:2~5g/kg/日
減量期でも、ある程度の炭水化物は必須です。「超低炭水化物ダイエット」で筋力が落ちたという経験をした人も多いと思いますが、それはこのためです。
炭水化物 = 70 × 2.5 = 175g/日(保守的な値)
脂肪:最低0.5~1.0g/kg/日
減量期でも脂肪の最低値は守ります。ホルモン分泌が崩れるのを防ぐため。
タンパク質:175g × 4kcal = 700kcal
炭水化物:175g × 4kcal = 700kcal
合計:1,400kcal
残りカロリー:1,850 - 1,400 = 450kcal
脂肪:450 / 9 = 50g/日
最低値の確認:70kg × 1.0g = 70g。上の計算では50gなので、少し調整が必要ですね。炭水化物を175gから155gに下げると、脂肪が約55gになり、目安に近づきます。
実例:70kg男性、減量期メニュー(1,850kcal)
| 食事 | 具体例 | タンパク質 | 炭水化物 | 脂肪 |
|---|---|---|---|---|
| 朝食 | 卵2個・白米100g・無塩バター小さじ1 | 16g | 35g | 10g |
| 昼食 | 鶏むね肉150g・白米100g | 40g | 35g | 3g |
| おやつ | ホエイプロテイン35g | 28g | 2g | 1g |
| 夕食 | マグロ中トロ100g・白米50g・タマゴスープ1杯 | 26g | 20g | 12g |
| 合計 | 110g | 92g | 26g |
実際は175g タンパク質・155g 炭水化物・55g 脂肪程度に調整します
初心者が陥りがちな3つの誤解
1. 「タンパク質をたくさん摂るほど筋肉がつく」は半分ウソ
初心者ほど、この誤解を持ちがちです。確かに十分なタンパク質は必須ですが、1日あたり1.6g/kgを超えて摂っても、筋肉の成長がほぼ進みません[1]。
逆に、タンパク質ばかりに気を取られて、カロリーや炭水化物がおろそかになる人も見かけます。バランスが大事なのです。
2. 「炭水化物は夜遅く摂ってはいけない」
これも、科学的根拠がありません。大事なのは「1日の総摂取量」です。朝摂ろうが夜摂ろうが、筋肉成長への影響はほぼ同じです。ただし、就寝3時間以内の大量摂取は消化負担になるので、避ける方が無難です。
3. 「タンパク質補給は食直後に摂らないと効果がない」
「ゴールデンタイム」という言葉が広まったせいで、多くの人が「運動直後、30分以内にタンパク質を摂らないと筋肉がつかない」と思っています。
実際には、1日のタンパク質総量がきちんと確保されていれば、「数時間のズレ」は筋肉成長に大きな影響を与えません。もちろん、できるなら運動後に摂った方が効率的ですが、忙しい時に無理して間食する必要はありません。
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PFC とはタンパク質・脂肪・炭水化物のことだ。これらのバランスを知らなきゃ、いくら鉄を握ろうが筋肉は育たん。
タンパク質は体重1kgあたり1.4~2.0g摂れ。この範囲が筋肉成長の最適値だ。少なすぎれば話にならんし、多すぎても無駄。科学が証明している。
炭水化物を舐めるな。増量期は3~5g/kg、減量期でも2~5g/kg必要だ。「炭水化物は太る」と逃げるんじゃない。トレーニングのエネルギー源であり、筋タンパク質合成を助ける重要な栄養だ。
脂肪も忘れるな。最低0.5g/kg。ホルモン合成のために絶対に必要だ。
「初心者向け」と名乗るなら、計算式を覚えろ。基礎代謝を求め、活動レベルをかけて、目的に応じてカロリーを調整する。その上でグラム単位で PFC を決めるんだ。比率で決めるんじゃねえ。
増量期は週0.25~0.5%の体重増加、減量期は週0.5~1.0%の減少。焦るな。この記事の実例メニューを参考に、毎食タンパク質を意識しろ。
貴様も実践できる。今日から始めるんだ。これは命令だ。

- グリコーゲン:筋肉に蓄えられた糖のこと。筋トレのエネルギー源として使われます。
- 基礎代謝率(BMR):何もしなくても体が消費するカロリーのことで、寝ているだけでも使われます。
- 筋タンパク質合成:トレーニングのダメージから筋肉が回復する際に、より大きく成長する仕組みのことです。
- テストステロン:筋肉成長のキーホルモンで、男性ホルモンの一種です。
- 脂溶性ビタミン:ビタミンA・D・E・Kのことで、脂肪がないと体に吸収されません。

ここからは、AIトレーナーのエマがよくある疑問にお答えします。
Q体重が変わらないのに、体脂肪率が下がっています。これはいいことですか?
そうですね。体重が変わらなくて、体脂肪率だけ下がるのは、実は素晴らしい状態ですよ。これは「脂肪が減って、筋肉が増えた」ということを意味します。体重計の数字だけ見てると、見落としちゃう変化ですけど、これが本当の成功なんです。ぜひ続けてください。
Q1日3食が無理です。2食でもいいですか?
大丈夫ですよ。大事なのは「1日の総タンパク質」です。2食で1食あたりのタンパク質を増やせば、3食と同じ効果が得られます。ただし、1食あたり50g以上のタンパク質を摂ると消化負担になる人もいるので、様子を見ながら調整してください。
Qプロテインパウダーじゃなく、食事から全部タンパク質を摂ることはできますか?
もちろんできます。ただ、現実的には難しいことが多いですね。たとえば、毎日150g以上のタンパク質を、すべて鶏むね肉や魚だけから摂ろうとすると、食費がかかりますし、食べる量も多くなります。プロテインは「タンパク質を効率よく摂るための道具」として、上手に活用するといいですよ。
Q体重が増えるのが怖いです。もっと低いカロリーで筋肉をつけることはできますか?
その気持ちはすごく分かります。でも、残念ながら、体重が全く増えない状態で筋肉だけ増やすのは、かなり難しいんです。わずかな体重増加は、ほぼ確実に筋肉成長と一緒にやって来ます。増量期は「週0.25~0.5%の体重増加」という、ゆっくりなペースを心がけることをお勧めします。3ヶ月なら、3~6kg増える程度。減量期で取り戻せますよ。
QPFC比率を「タンパク質40%・炭水化物40%・脂肪20%」みたいに、比率で決めてもいいですか?
いい質問ですね。比率で決めるのは、計算が簡単な反面、落とし穴があります。同じ比率でも、カロリーが違えば、グラム数は全く変わるからです。大事なのは「グラム数」です。このメディアで紹介してるように、「タンパク質1.4~2.0g/kg」という「グラム単位」で目標を決めた方が、確実ですよ。
Q外食ばかりです。どうやってPFCを管理すればいいですか?
外食でも、ざっくり管理することはできます。タンパク質は「手のひらサイズ分の肉・魚」で約25g、炭水化物は「握り拳サイズ分のご飯」で約50gくらいです。毎食、目安タンパク質・ご飯の量・油料理を意識するだけで、だいぶ違いますよ。完璧を目指さず、「70~80%管理」を心がけてください。
Q減量期でも筋力は伸びますか?
難しい質問ですね。正直に言うと、減量期に大幅に筋力が伸びることは稀です。でも、「全く伸びない」わけでもないんです。特に、初心者や、以前に筋力が落ちた人なら、減量期でも筋力が戻る・少し伸びることがあります。完全に伸び止まるのは、かなり体が絞られた人たちですね。
参考文献
- A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults — British Journal of Sports Medicine (2018)
- International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise — Journal of the International Society of Sports Nutrition (2017)
- International society of sports nutrition position stand: nutrient timing — Journal of the International Society of Sports Nutrition (2017)
- A systematic review of dietary protein during caloric restriction in resistance trained lean athletes: a case for higher intakes — International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism (2014)
- Acute effects of resistance exercise on skeletal muscle glycogen depletion: A systematic review and meta-analysis — Physiological Reports (2025)
- Achieving an Optimal Fat Loss Phase in Resistance-Trained Athletes: A Narrative Review — Nutrients (2021)



